夏といえば肝試し。
だけど、本当にするのは怖い。
「で?どうする?」
「え……帰るつもりなんだけど」
「雨近、諦めろ」
滝は肝試しは怖くないと言うけれど、僕は嫌なんだ。
確かに肝試しに興味はあった。
「分かったよ」
本心とは裏腹にそう答えた。
出来るなら、ここから逃げ出したい。
家でゆっくりとしていたい。
でも、帰っても誰もいなくて寂しい。
だから、僕は肝試しに参加する事にした。
「じゃあ、行くか?」
こんな時、滝を尊敬する。
幽霊なんかいないと言い張って。
肝試しを嫌がったりはしない。
「まだ心の準備が……」
僕がそう言いかけているのに、滝は先に歩いていっている。
ってもしかして、このままだったら、1人になってしまう?
それだけは嫌だ。
「早くしないと置いていくぞ〜」
僕の親がいなくなった時。
滝は何も聞いてこなかった。
だからなのだろうか?
彼を友人と思えるようになったのは。
「待ってよ」
「早くしろよ?」
滝は勇敢で。
弟の面倒を見たりするから偉いと思う。
それにどれだけ忙しくても。
時間を作って。
僕と遊んでくれる。
肝試しは怖いけれど。
滝と一緒なら平気だと、その日から思えるようになった。
- end -
2013-11-23
明都様のオリジナル創作サイト「SYOUSETUYA」で9999hitの代理でリクエストの権利を頂きました。
私、「忍者の1日」というお話に出てくるキャラクターの雨近が大好きでして…彼の子供時代のお話をお願いしました!
滝との関係がよくわかって、本編が更に楽しめてしまいますv
明都様、どうもありがとうございました!!