「ん〜……よし。うしおのところに行こっと」
 ぶたろうは、うしおのところに行くことにしました。


 牧場の真ん中にある大きな広場をきょろきょろと歩いていたぶたろうは、食事中のウシの群れを見つけました。
「う〜し〜お!」
 ぶたろうの声に、母親に寄り添うように草を食んでいた子ウシが顔をあげました。
「あ、ぶたろう。おはようだモー」
「おはよ」
「おはよう、ぶたろう」
 にっこりと微笑みを向けるうしえ母さんに、自然とぶたろうの頬も緩みます。
「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「なんだモー?」
「うしおのもらって嬉しいものってなに?」
 首をかしげて自分を見るうしおに、ぶたろうがそう聞きます。
すると、さっきとは反対側にゆっくりと首を倒したうしおがしばらく考えた後、こう言いました。
「………ごはん?」
「ごはん?」
 ぶたろうが同じことを言うと、嬉しそうな顔をしたうしおが一つ頷きます。
「うん、ごはんだモー」
「どうして?」
「だって、今、とってもお腹空いてるから……」
 そう言って、足元に生えている草を見つめたうしおのお腹がきゅるるる…と鳴りました。
「うしおらしいね」
 ぶたろうは、それを見てくすっと笑います。
 笑われたうしおは、恥かしそうにしながらも、再び草を食べ始めました。
 しばらくそんな彼を見ていたぶたろうでしたが、優しい瞳で息子を見つめるうしえに視線を移します。
「うしえ母さんは?」
「私? 私は……そうねぇ。お天気な毎日…かしらね」
「お天気な毎日?」
 今度はぶたろうの方が首をかしげる番でした。
 うしえは、笑顔で頷きます。
「えぇ。お天気な日が毎日続けば、こうやって気持ちのいい天気の下、気持ちのいい風の中で皆さんと一緒におしゃべりしていられるじゃないですか」
「雨だとだめなの?」
 ふとした疑問を口にするぶたろうに、くすりと笑います。
「だめじゃないけれど……牛舎の中は狭くて。おしゃべりしていても気持ちよくないんですよ」
「そっか」
 その答えに納得したぶたろうは、ノートを取り出して2人分の答えを書き込みました。
「ぶたろう、後で遊ぼうだモー」
 ごはんを食べるのをやめてそう声をかけるうしおに、ぶたろうはノートをしまいながら謝ります。
「ごめん。今日はちょっと忙しいんだ。明日でもいい?」
「わかったモ−」
「ごめんね、また明日! ありがと!」
 そう元気に言ったぶたろうは、2人に手を振りながら、その場を後にしました。








 さて、次は誰のところに行ってみましょうか?


 → すずよ








 参考 『明解!キャラクター紹介☆』