「うぅ…さむっ……」
「シャギャァ…」
最近、冬に思えないくらいあったかかったのに、急に寒くなったなぁ〜。…もっと厚着してくればよかったかな? 昨日までのぽかぽか陽気のつもりでちょっと薄着してきちゃったからなぁ。
ボクの横を歩いているライクが、ちょっと震えている気がして、その場にしゃがんだ。
「ライクも寒い?」
「ミャア」
ボクが抱えて歩いた方があったかいかな?
そう思ったボクは、にっこり笑って両手を広げた。
「おいで、ライク」
「ミャァ!」
腕の中に飛び込んでくるライクを抱えて、ボクは母さんが働いてる薬屋さんを目指した。
その途中、白い何かがボクの目に写った。
「?」
雪…じゃ、ないよね? だって、木に止まってるし。……ちょうちょ?
不思議に思ってそばにいくと、それがそのどれとも違うことがわかった。
「これ……サクラだ!」
冬に咲くサクラがあるって聞いたこともあるけど…リーンにはそんなサクラはないし……最近、あったかかったから、春と間違えたのかな?
「……寒そうだけどきれいだね、ライク」
「ヴミャー!」
風に吹かれながら、小さくて白い花が太陽のほうに顔を伸ばしてた。
こんな季節に咲くなんて…大変だよね。でも、ありがと、サクラさん。なんか、とってもうれしくなっちゃった。
後で母さんにも教えてあげよっと♪
「なんか、神さまからのクリスマスプレゼントかな?」
「ミャア〜」
「そうだといいね!」
ライクと笑いあった後、ボクはサクラさんにお別れを言って、母さんの所に急いだ。
だって、今日はクリスマスだもん。早く帰って、一緒に夕ごはんの準備をするんだ♪
- end -
2013-11-23
「黒の書」クリスマス企画にて。
その日、友人とクリスマスケーキを取りに行った帰り、公園で桜を見たのがきっかけで生まれました。
屑深星夜 2004.12.24完成