木々の間からキラキラと光る星が覗く中、パステルは焚き火に向かっていた。
その手にはフライパンが握られ、その上で食材が料理されている。
また、火の上には鍋がかけられ、何かがぐつぐつと煮えているようだった。
久しぶりにクエストに出かけた彼女たち。
シルバーリーブを発って、まずはストーンリバーへ。
そこで数日滞在して準備を整えた後、海岸線にそって南へ1日。
彼らの目的地である洞窟の一歩手前で野宿をすることになったのだった。
焚き火の周りでは、パーティの面々がそれぞれの時間を過ごしている。
クレイは少し離れたところでソードを磨き、トラップは木の幹に背を預けて目を閉じていた。
キットンは近くで見つけたキノコを調べるのに夢中。
ノルはルーミィとあやとりをし、シロがその様子を楽しそうに見つめていた。
ソヨソヨと風に揺れる木の葉の音が辺りを満たし、時々ルーミィの笑い声が響いていた。
「ご飯できたよ〜」
パステルの声に全員が火の周りに集まって来る。
「お、うまそうだな」
今日のメニューは、野菜がたっぷり入ったスープとベーコンの入ったパンケーキ。
寝ていたはずなのに一番最初にやってきたトラップに、パステルがスープの入ったカップを渡す。
すると、彼女のすぐ横にやってきたルーミィが手を挙げた。
「ぱーるぅ! ルーミィも、ルーミィも!」
「はいはい。熱いから気をつけてね」
クスクスと笑いながらパステルがルーミィにカップを手渡す。
その様子をパーティのみんなが見つめていた。
「いったらっきま〜す!」
大きな声でそう言うルーミィに続いて、
「いただきます」
と、スープが回ってきた者から手を合わせた。
炎に照らされて、ほんのり赤く互いの顔が見える。
フワフワと立ち上る温かい湯気が、夜の寒さから守るように彼らを包んでいた。
「しおちゃん、おいしーね」
「おいしいデシね、ルーミィしゃん」
そんな2人を見ていたパステルたちの顔には、自然と微笑みが浮かんでいた。
「ねぇ、あとどれくらいで着くんだっけ?」
「順調に行けば、明日の昼ごろってとこだろーな」
「あぁ」
トラップの言葉に、クレイがうなずく。
その隣でキットンがパンケーキをほおばりながら話す。
「久々のクエストですからね〜、ワクワクしますね」
「そう、だな」
フーフーと熱いスープを覚ましながら一生懸命夕飯を食べているルーミィ。
その様子を気にしながら、自分もパンケーキを食べているシロ。
彼ら以外の大人たちは、ゆらゆらと揺れる炎を見ながら、明日から本格的に始まるだろう冒険に思いを馳せていた。
空からは、多くの星々に囲まれながら淡く光る三日月が、木々の間から覗く彼らの様子を見つめていた。
fin
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