「行ってきま〜す!」
「いってきまぁ〜す!」
「わんデシ!」
ポカポカ陽気の春だな〜って感じられる日の朝。
わたしは、ルーミィとシロちゃんを連れてお散歩に出かけたんだ。
カチャカチャとルーミィの背中のリュックから鳴る音が、彼女の心そのままに楽しげに響く。
わたしの背中からも同じように、水筒とお弁当箱が揺れる音がしていた。
気分もわくわく、足どりも軽く歩いていると、ルーミィがあるものを見つけて足を止めた。
「ぱーるぅ! タンポポさんだお!」
「たくさん咲いてるわね」
道端に咲く小さな花を見つけたルーミィは、うれしそうにそれを手にとる。
春の太陽のように柔らかで、強い生命力を感じるその黄色い花は、真っ直ぐに晴れ渡った空を見てる。
わたしも同じように空を見上げて、所々白い雲の浮かぶ青空を瞳にうつした。
「ぱーるぅ!」
「え?」
服のそでを引っ張られて下を見ると、引っ張った本人 ―― ルーミィの手には、もう何本かのタンポポの花が握られてたの。
「こえ、あげうお」
「ありがと!」
差し出された手から黄色い花を受け取ると、ルーミィはニコニコとうれしそうに笑った。
「ルーミィしゃん! こっちにつくしがあるデシ!」
「どこどこー!?」
シロちゃんに呼ばれた彼女はトテトテと駆け寄ると、次に見つけた春を前にしてキャッキャと可愛い声を上げた。
ルーミィたちは、その後も、少し歩いては別の春を。
少し歩いてはまた別の春を探し出していったの。
冬を越し、春の訪れに芽を出す木々。
暖かい風に、咲かせた花びらを揺らす花々。
柔らかな日差しの中で、動き出した小さな命たち。
ふたりは、見つけたもの1つひとつにうれしそうに笑いかける。
わたしは、手に持ったタンポポみたいに自分の心が暖かくなって、自然に笑みが零れるのをとめることができなかった。
いつか、太陽は真上に昇ってた。
「さ、ふたりとも、お弁当食べよっか!」
「はいデシ!」
「ルーミィ、おなかぺっこぺこだおう!」
わたしたちは、地面に腰を下ろして、仲良くお弁当を広げた。
「いっただっきまーす!」
「いったらっきまーす!」
「いただきますデシ!」
ん〜…美味しい!
外で食べるごはんもいいよね〜!
今日は、ホントにお散歩に出かけてよかった!
fin
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