ひまわり
今年も梅雨の季節が終わって、太陽のまぶしい季節がやってきた。
「ぱーるぅ。ひまわいさん、さかないね」
自分の背丈の倍も高いひまわりを見あげて、ルーミィがそう言うの。
「もう少しよ、蕾もふくらんでるし」
その姿がとっても可愛くって、わたしは笑顔を向けた。
春の終わりごろに、ルーミィたちと一緒にひまわりの種を植えたんだ。
ほら、ひまわりってとっても背が高くなるでしょ?
そうしたら、旅館の中からでもひまわりが見えていいかなって思って、みすず旅館の前に大きめの植木鉢を置かせてもらったの。
梅雨が明けるころにはもう、花が咲くかな? って思ってたんだけど、今年はちょっと天候が悪かったから、咲くのが遅れてるみたい。
ルーミィは、毎日外に出かけるたびにひまわりの様子を見て、まだ咲かないねってわたしに言うの。
大切なものを見守る彼女のブルーアイを見てると、早くひまわりが咲かないかこっちまで気になってくる。
だって、早くルーミィが喜ぶ姿がみたいんだもの。
「ルーミィしゃん、遊びに行こうデシ!」
「うん。いこっ! しおちゃん!」
「お昼ご飯までには帰ってくるのよ」
「はいデシ!」
タタタっ…と元気に走っていく後ろ姿を見送って、わたしは旅館の中に戻った。
次の朝。
「ぱーるぅ! ひまわいさんがさいてうお!!」
ルーミィの声に急いで外へ出ると、そこには黄色の花びらをいっぱいに広げて太陽を見つめる花の姿があった。
その横には、わたしがずっと見たかったひまわりみたいに元気な笑顔が咲いていてたの。
fin
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