「ぱーるぅ」
「どうしたの? ルーミィ」
くりくりとよく動くブルーアイが、わたしを見つめる。
「サンタさんて、ホントにいうの?」
……実は、今日、クリスマスイブになってから、もう10回近くこの質問をしてくるの。クリスマスイルミネーションがはじまった頃から数えると、覚えていられないくらいたくさんね。
去年までは、サンタの存在を疑うことなく信じてたんだけど、今年誰かに、サンタはいないって言われたみたいで…ずっとこんな感じなの。
……いいかげん、ルーミィも信じてくれないかなぁ?
わたしは、内心そう思いながらも、笑顔でルーミィが求めている答えを返した。
「いるわよ。ルーミィがいい子でいたら、ちゃんとプレゼントを届けてくれるわ」
「ルーミィいいこだお!」
「ぼくもデシ!」
「そうね。心配しなくても大丈夫だから、サンタさんがプレゼントを届けに来やすいように、早く寝ようね」
「ルーミィがはやくねうと、サンタさんもはやくきてくえる?」
首を傾げてそう言う姿は、本当に愛らしくて、思わずぎゅっと抱きしめた。
「きっと来てくれるわよ」
「じゃ、はやくねうお! いこっ、しおちゃん!」
「はいデシ!」
やっと寝る気になってくれたルーミィたちを追って、わたしは部屋へ向かった。
「おやすみ、ルーミィ」
静かな寝息を立て始めたのを確認して、音を立てないように部屋を出た。
「寝た?」
ドアを閉めたと同時に後ろからクレイが声をかけてきた。
「うん。やっと」
肩をすくめてそう答えると、クレイはにこっと笑った。
「これで、プレゼントを隠さなくてもいいな」
「そうね」
くすくすと笑いあいながらトラップたちのいる部屋へと歩く。
その夜、寝る前に、ルーミィたちの枕もとにプレゼントを置いた。
明日、喜ぶ姿を見るのが、今から楽しみ!
- end -
2013-11-23
「黒の書」のクリスマス企画にて。
屑深星夜 2004.12.24完成