チチチチ……
遠くで聞こえる小鳥の声に、フワリと目が覚める。まだまだぼやけた視界に映り込む肌色と……黒。
「おはようございます」
は、っと目を見開いた先に居たのは、目を細めてぼくを見るレギウスだった。
そ、そうだ! ぼ、ぼく……昨日っ!!! レギウスと……っ!!
ぼくもレギウスも服を着ていない状態。その上、身体に残った少しの痛みと気だるさが、昨夜の出来事は嘘じゃないんだってぼくに教えてくれていた。
レギウスのことが気になって気になって、ずっと追いかけていたぼくに、ようやくレギウスが答えてくれたんだ!
後ろでも前でもなく、やっと隣に立てたんだと思うと、すごくすごく嬉しくて、赤くなった目元に涙がジワリと滲んできた。
「おは、よう」
溢れ出る気持ちのせいで詰まってしまう声。紛れもなくすぐそこにいる漆黒の瞳に照れた笑いを向けると、僅かに目を見張ったレギウスは、サッと起き上がってぼくに背を向けてしまったんだ。
「身体の方は大丈夫ですか?」
「う、うん……ちょっとだるいけど、大丈夫だよ」
言葉はぼくを心配してくれてる。でも、その背中と遠ざかってしまった温もりが、昨夜のことは幻だったんじゃないかって思わせて、ズキリと胸が痛む。
さっさと1人で服を着て、髪を整えて、何事もなかったかのような後ろ姿に、唇がへの字に曲がる。
「……っ!! 何でこっち見てくれないのっ!?」
不安と怒りの入り混じったままに起き上がったぼくは、レギウスを無理やりに振り返らせる。
え。
慌てて覆われた手の向こう側に見えていたのは、見たこともないくらい真っ赤になったレギウスの顔……。
「……え?」
う、嘘……。もしかして照れてたの!?
瞬きも忘れて見つめ続けるぼくから、視線を逸らしたレギウスは、小さな小さな声で呟くんだ。
「申し訳ありません。貴方の笑顔を見たら、身体の方が反応してしまいました……」
「……え、えぇぇぇぇぇ!?」
予想もしていなかった答えに、頭の中はパニック状態。しばらく2人で赤い顔を突き合わせているしかなかった。
「レギウスのエッチ……」
「……申し訳ありません」
でも、そんなレギウスも大好きだよ? だって、ぼくが好きだって思ってくれてる証拠だもんね。
だからギュッと抱きついて、まだ赤いままの頬に唇を寄せたんだ。
- end -
2013-11-24
夕凪レト様へのお誕生日祝いに書かせていただきました。
「レギ主初夜後の話」というリクエストでした。
久しぶりに1人称でつむたんを書いたら、すごく幼くなってしまいました…。
1年以上お待たせしてしまって申し訳ありませんでしたぁぁ!!
お誕生日おめでとうございました!
屑深星夜 2013.11.23完成