これは、十六夜たちがある街にたどり着いた後、それぞれが別行動していた時のこと。
「カイー!」
「シャギャーっ!」
向こうの方から駆け寄ってくる十六夜とツァルを見て、カイは歩みを止める。
「十六夜、ツァル。どうしたんだ?」
屈んで視線を合わせてくれた彼に、ニコニコ笑顔で話し掛ける十六夜は、いつもより少し興奮している様子だ。
「あのね、あっちにキレイな木があったの。丸くてキラキラしたものとか、お星様とかで飾ってあって……」
「あぁ!」
カイは、一生懸命な説明の途中、ポンと手を叩いた。
「そういえば、もうクリスマスの時期か」
「クリスマス?」
首を傾げて聞いてくる十六夜に、カイはポリポリと頬を掻く。
「あー……神さまが人間として生まれて来た日を祝う行事だよ。赤い服来たサンタクロースっておじいさんが、よい子にプレゼントを渡しにきてくれるんだ」
「プレゼント!?」
目を見開いて、今まで以上に興奮した十六夜は、カイの腕に縋りつく。
「ね、カイ! ボクのとこにも来てくれるかな?」
「十六夜はいい子だもんな。きっと来てくれると思うぞ」
「ホント?」
「ホントホント」
カイは、ニコニコと笑いながら、十六夜の頭を撫でてやる。
「わーい♪ ね、ツァル。ボクのとこにも、サンタさん来てくれるって!」
「シャギャー♪」
2人で顔を見合わせて笑う顔は、見ている側まで幸せにさせるようなものだ。
「ね、ツァル! もう1回見にいこ♪」
「ミャァ!」
自分を置いて元気よく駆け出した十六夜たちの背を見つめながら、立ち上がったカイは、クスリと微笑を零す。
こりゃ、プレゼント用意しなきゃなんないなぁ〜。
その顔は決して困ったものではなく、とても嬉しそうなものだった。
- end -
2013-11-23
「馬鹿の館」で行われていた、夜麻復活祝い絵茶に参加しつつ書かせていただいたもの。
夜麻作品のSS書くのは初だったため、キャラが壊れている気がしますが…生暖かい目で見てください。
夜麻先生の作品、大好きです!
屑深星夜 2007.12.19完成