『花より団子』と言うが……亜希と有紀も例に漏れず、せっかく桜の立ち並ぶ河原にやってきたというのに、屋台で売っている焼きそばにお好み焼き、たこ焼きを買い込んで座り込んだ。
視線は上ではなく下に。時折風によって振ってくる薄ピンク色の花びらを追いながら、空腹を満たすためかき込んだ。
満腹になれば、春の陽気が眠気を誘うもの。ふあぁ…と欠伸をした亜希。
「いい天気だし、昼寝して帰るー?」
「んー…ちょっとだけ、してく」
我慢できないのだろう。すぐにゴロンと横になって、スースーと小さな寝息を立て始めた。
有紀はそんな亜希を目を見開いて見下ろす。何故なら、彼の頭が乗っているのは自分の腿……いわゆる、膝枕という状態になっているからである。
閉じられた目元に…薄く開いた唇。
思わず凝視してしまう自分に気づいてハッとした有紀は慌てて上を見上げる。そこで己を待っていたのは、青空に広がる桜色の雲。
トクトクと少し早い己の心音を聞きながら、その美しく幸せな春の午後を過ごしたのだった。
- end -
2013-11-23
「Guidepost」ミム様のお誕生日に書かせていただいたSSSです。
オリジナルBLの有紀君と亜希君をお借りいたしました。
この前後を、ミム様の相方さんであるかなみ様に無理やり書かせた…こともありましたね〜。そちらはぜひ、Guidepost様でご覧ください♪(SSの166にあります〜)
ミム様、お誕生日おめでとうございました!
屑深星夜 2013.4.13完成