廉冶×三弥

廉冶×三弥


 手を繋ぎたい。

 可愛い恋人からの願い事に廉冶はニヤリと笑みを向ける。
「後で俺の願い事も聞いてくれんならいいよ」
 十中八九、やらしいことを考えていると丸わかりなはずなのたが、そこは三弥だ。わかってないようでコクリと頷く。
『…だったらいいっ!』
 なんて言って顔を真っ赤にすると予想していた廉冶は肩透かしをくらうが、願い事を告げたベッドの中で、羞恥に白い肌を染め、躊躇いながらも約束を守ろうとするだろう三弥を想像して、その場で『“エッチな願い事”するけどいいの?』と聞くのはやめにした。
 今、三弥の可愛い姿を見るよりも、後でもっと可愛い彼を見ることを選んだのだ。
 ニヤニヤと悪い笑みを浮かべつつ、己より温かくて小さな手を握ると、ふにゃりとクールな顔が緩んでドキリとする。
「斎藤の手って冷たいね」
「そ、うか…?」
「きっとその分、心があったかいんだよね」
「あ、あったかいのはお前だろっ?」
 見上げてくる笑みにクラリと視界を揺らしつつも何でもない振りして言えば。
「ううん。斎藤はあったかいよ。あったかくて優しい」
 純粋な瞳と言葉に射止められ、一瞬にして廉冶の体温が上がる。
「あれ? あったかくなってきた…?」
 不思議に思って見つめる相手は、いつの間にか後ろ頭しか見えず。首を傾げながらも繋いだ手をじっと見つめた三弥は、嬉しそうに言うのだ。

「俺のがうつったのかな?」

 違うとも、そうとも言えない廉冶は、空いた手で己の顔を隠し、後で覚えてろよ…と心の中で呟いた。

- end -

2013-11-23

Guidepost」かなみ様のお誕生日に書かせていただいたSSSです。

オリジナルBLの廉冶君と三弥君をお借りいたしました。

いやね…廉冶は三弥にやられまくってればいいと思いますよ、という私の心の表れでしょうか。楽しく書かせていただきました♪

かなみ様、お誕生日おめでとうございました〜!


屑深星夜 2013.7.5完成