降り始めた雪の最初のひとひらを手の平で受け止めると願いが叶う。
そんな噂を知ってるか、と見上げられ、廉治は首を振る。
「そっか。やっぱり噂なのかな…」
呟く姿が余りに残念そうで「試してみりゃいいじゃん、な?」と言ってしまっていた。
最初のひとひらを手にできる確率なんてほぼないに等しいだろう。
それに噂は噂。
信憑性に欠ける。
それでも、そんなあやふやなものに願いたい何かがあるんだろう。
「一緒にやってくれるの?」
嬉しそうに自分を見上げる恋人を見てしまえば、そういうものを頭から信用していない廉治だとて頷くしかない。
…ま、おれが叶えてやればいいしな!
その内容によっては、廉治に叶えられないこともあるはず。
だが、今から三弥の喜ぶ顔を想像してニヤニヤしている彼は、その可能性に全く気づくことなく、初雪が降るかも、という当日を迎えることになったのだった。
- end -
2014-6-10
11月22日は小雪(しょうせつ)の日。
ということを「Guidepost」かなみ様の呟きで知りまして。
それをネタに書かせていただいたSSSです。
オリジナルBLの廉冶君と三弥君をお借りいたしました。ありがとうございました!
屑深星夜 2013.11.22完成