悪魔の涙1 プロローグ

悪魔の涙1 プロローグ


 バシンッ

 乾いた音が狭い部屋に響いた。頬に与えられたはずの痛みは、脳が揺れるほどの衝撃のおかげでどこかへ消えてしまっている。
 ヨロヨロと壁にもたれかかれば、胸元を掴んだ手にグイと背中を押しつけられた。
「面白いか? 他人の人生、滅茶苦茶にして」
 何か言い返したくとも、ボーっとした頭では口も動かせず。焦点の合わない瞳の先には、今までにないほど怒りを露わにした男がいた。
「確かに、今まで何でも許されて来たんだろう…。そうさせる何かがお前にはある」
 鋭い眼光がオレを射抜く。
「けど……俺は許さない」
 ブチブチと音を立ててシャツのボタンが弾け飛ぶ。履いていたジーンズも壊す勢いで下着ごと引きずり落とされ、グイと強引に右足を押し上げられる。
 空気に晒された後ろに押し当てられたのは、熱い塊。

「お前を一生許さない!!」

「っぁ…あぁぁぁぁ――――!!!!」

 怒張したソレを力任せに押し込められ、悲鳴が上がる。いくら慣れた身体でも、なんの前戯もなく挿れられれば痛みしか感じない。
 ただひたすらにオレを揺さぶる瞳は真っ直ぐにこっちを睨んでいる。
 憎悪に満ちたものであっても、その目がオレを見つめていることが嬉しくて堪らないのは何故なのか。どれだけ考えてもその答えは見つかりそうになかった。
 しかし、その悦びより上回る……感覚。強引に挿入された痛みよりも強烈な、胸の痛み。破れてしまったんじゃないかと思うほどの衝撃に、オレははじめて涙した。

- continue -

2014-02-10

「ポケクリ」に初めてUPしたオリジナルBL小説です。

この作品だけで読める内容になっておりますが…「天の幸せ」のキャラと関わりがあったりも…します。

ちょっと展開は早いですが…楽しんでいただけたら幸いです。


屑深星夜 2011.5.14完成