今日は廉治の誕生日だ。
1週間のど真ん中とはいえ、昼休みに放課後に仲間や恋人に祝ってもらえた1日は、彼の心をほっこり暖めていた。
まぁ、翌日が休みでさえあれば、恋人との濃密な時間を過ごしたかった…という本音はあれど、それは週末のお楽しみにしてあったから文句はない。が、三弥を送った帰り道は“寂しい”と感じる己に思わず舌打ちをしてしまうくらいには、やはり特別な日ではあった。
そういえば、別れ際の三弥の様子が少しおかしかったような…と、僅かに頬を染めた彼を思い浮かべながらポストを開けると、何通かのダイレクトメールと共にかっちりとした葉書サイズの封筒が届いていた。その珍しさに差出人を確かめると、先程別れたばかりの恋人の名前が記されている。
まだ部屋にもたどり着いてもいないのに、歩きながら封を開け、取り出した中身には…。
『斎藤、誕生日おめでとう』
ケーキが飛び出すカードの中央に残された、小さいけれど紛れもない三弥の痕跡。
「……っ!」
公共スペースにも関わらず溢れだしそうになる感情を、口許を押さえて耐える。
「……くそっ! 明日覚えてろよ?」
ボソリと呟いた唇は、喜びの形に歪んでいた。
- end -
2015-4-29
「Guidepost」のかなみ様のお誕生日祝いに書いたものです。
思いつくままに携帯メールに打ちこみまして……そのままテロりました☆
サプライズは楽しいですね!!!!
お誕生日、おめでとうございましたぁぁっ!
屑深星夜 2014.7.5完成