乾いた大地に降り注ぐ
  優しい雫は止め処なく
  凍えた地面に恵みをもたらす





 地位も名誉も…自分に得られないものはないと思っていたころ。
 何を手に入れても物足りなく感じていた。
 何かに飢えたように手当たり次第にものにして、富や権力を得ても満たされることはなく……。
 ジリジリと胸の奥で燃えるものは、心をカラカラに干からびさせていた。

 その焦燥は、セイに出会ったことで消えてなくなる。

 自分に向けられる嘘偽りのない好意は、渇いた胸の内にあたたかい恵みの雨を降らせる。
 “渇いた”大地はいつしか潤い、愛する気持ちが芽を出した。
 何を得ても満たされなかった思いは、セイを手に入れたことで嘘のように満たされた。

 彼さえいれば、地位も名誉もいらない。

 そう思えるほど自分は変わった。


 他人を信じることのできなかった俺が求めていたのは、信じられる相手。
 自らを無条件に愛してくれる者の存在だったのだ。


 セイは、愛に渇いた俺の心に水を撒き、彼を想う気持ちを芽吹かせた。
 今も成長し続け、大きく大きく育つその気持ちには終わりがない。

 彼を愛している。
 いつも、いつまでも愛している。

 生涯で、ここまで想える相手は……お前しかいないだろう。


 心の中に実った想いは、彼だけのもの。
 恵みの雫をもたらした…彼、だけの。





  乾いた大地に降り注ぐ
  優しい雫は止め処なく
  凍えた地面に恵みをもたらす


  渇いた心に降り注ぐ
  優しい愛は止め処なく
  凍えた心に実りをもたらす

- end -

2016-8-21

6.16の妄想会で下書きしたもの。

シュウ兄さんは…当サイトのお色気担当、になってきているような(笑)
他の人についてもいろいろ書いてきてるはずなのに、そう思っちゃうのは何故なんだろう…って思いますが〜。
超SSSですけど、上手い具合にまとまってると思うので、満足感はあります。


雨の時に10のお題 07「恵みの雨」
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2009.6.26完成(2016.8.21修正)